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可奈さん
第13章 思い込み
俺は2人に話しかけているようでいて、本当は自分に言い聞かせていた。
「仕事帰りにここに来れば、いつでも会えますよね」
麻由さんが暖簾を下げ「あとは私がやりますから、多恵子さん先に上がっていいですよ」とパートさんに言っていた。
「うちの嫁さん、つわりが辛そうだから先に帰るわ、今メールが来た」と小山さんが席を立った。
それぞれが修平さんに挨拶をして帰って行った。小山さんは俺の肩を叩き、修平さんに目配せする事を忘れなかった。
麻由さんは、キッチンに入り、ふきんや食器を洗い始めた。
「瞳さんを通じて話があったらしい。俺にはよくわからないけど、その業界の、まあ、余裕ある人が、可奈になら店を持たせてやってもいいって」
「支店とかじゃないんですか?」
「違うな。"雅"にそんな体力ないと思う。今日の可奈見ただろ?……たぶん男だ」
それは、一番聞きたくなかった言葉で、でもそれを否定するには、証拠が揃い過ぎているような気がした。
「仕事帰りにここに来れば、いつでも会えますよね」
麻由さんが暖簾を下げ「あとは私がやりますから、多恵子さん先に上がっていいですよ」とパートさんに言っていた。
「うちの嫁さん、つわりが辛そうだから先に帰るわ、今メールが来た」と小山さんが席を立った。
それぞれが修平さんに挨拶をして帰って行った。小山さんは俺の肩を叩き、修平さんに目配せする事を忘れなかった。
麻由さんは、キッチンに入り、ふきんや食器を洗い始めた。
「瞳さんを通じて話があったらしい。俺にはよくわからないけど、その業界の、まあ、余裕ある人が、可奈になら店を持たせてやってもいいって」
「支店とかじゃないんですか?」
「違うな。"雅"にそんな体力ないと思う。今日の可奈見ただろ?……たぶん男だ」
それは、一番聞きたくなかった言葉で、でもそれを否定するには、証拠が揃い過ぎているような気がした。