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可奈さん
第14章 可奈さん
「こんな所で話すのも何だが……、単刀直入に言わせてもらうよ」

「何をです」

「可奈にはここを出てもらう」


その偉そうな物言いはなんだ。


「はぁ? 意味不明なんですけど」

「まあ、キミにとってはそうだろうが、決まった事だ」


俺はポケットから取り出したくしゃくしゃのハンカチで髪をガシガシ擦った。


落ち着け、俺

こんな厚かましい男の言葉にいちいち焦るな。


「彼女とは今日、契約を交わしたばかりなんだ。私の条件を全て受け入れてくれた」


──お受けするわ。


可奈さんの声がした。


「いったい何を言ってるんですか、条件て…」

「彼女には、私の用意した住居に住んでもらう。そして、私のグループ傘下にある店の責任者として働いてもらうつもりだ」


──ここを離れようと思うの。


「……それだけですか?」

「いや」

「ほかに何が」

「私以外の男を寄せ付けない事」

「っ…」


俺はそいつを睨み付け、思わず胸ぐらを掴んだ。


「彼女が大切ならちゃんと、幸せにするつもりだって言えよ!なんだよ偉そうにっ」




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