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可奈さん
第14章 可奈さん

俺には到底できない事を、いとも簡単にやってのける男への嫉妬があった。だがそれを、契約などと回りくどい言い方でカッコつけてるコイツが許せない。
集合ポストに押し付けられたヤツは、俺の手を押し退け、「キミは若いな」と呟くように言った。
そして、乱れたネクタイの結び目を掴み、少し顔をあげて形を整えた。
「……っ、まさかそれ…」
「ん? あぁ、これか」
その手には、薬指には、指輪が光っていた。
嘘だろ?
「け、結婚…」
「ああ、妻がいる」
──お受けするわ
全身の力が抜けていった。怒る気力が失われていく。
「なんで……なんで……」
可奈さん
なんでだよ……
──ここを離れようと思うの。
「キミは長谷川氏を知っているね。長谷川氏と可奈の関係は、彼が亡くなるだいぶ前から、いろんな所で噂されてたよ」
それなのになぜこの男は、彼女を望んだ。
「キミは、彼女を一度も、ものにしてないだろう」
なんだコイツ……
集合ポストに押し付けられたヤツは、俺の手を押し退け、「キミは若いな」と呟くように言った。
そして、乱れたネクタイの結び目を掴み、少し顔をあげて形を整えた。
「……っ、まさかそれ…」
「ん? あぁ、これか」
その手には、薬指には、指輪が光っていた。
嘘だろ?
「け、結婚…」
「ああ、妻がいる」
──お受けするわ
全身の力が抜けていった。怒る気力が失われていく。
「なんで……なんで……」
可奈さん
なんでだよ……
──ここを離れようと思うの。
「キミは長谷川氏を知っているね。長谷川氏と可奈の関係は、彼が亡くなるだいぶ前から、いろんな所で噂されてたよ」
それなのになぜこの男は、彼女を望んだ。
「キミは、彼女を一度も、ものにしてないだろう」
なんだコイツ……

