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可奈さん
第14章 可奈さん
俺は、この先何年、この人を愛し続けるだろう。それとも、すぐに思い出にしてしまえるのだろうか。


「心と身体って、別々なのね。……ちっとも忘れられない」


可奈さんそれは……、やっぱ、身体はアイツのものになったっていう事でよろしいでしょうか。

大切な、初めてを…


3歩離れた可奈さんが、もっと遠く見える。
そして、とても悲しく見える。


「結局、俺ではダメだったんですね」

「……拓也さんは、眩し過ぎるもの。もうね、目がくらむ程。
自分の薄汚さを見せつけられてた」

「薄汚くなんかないですよ」

「いいえ、そうなの。……今もそう」

「だったらあんな話、断ればよかったじゃないですか」


今更だと分かっていても、つい本音が口をつく。


「前のままじゃダメだったんですか?
わざわざ結婚している人を選ぶなんて。また同じ思いをするだけだって、わからないんですか?
抜けだそうと思えば抜けだせる筈なんだ、それなのにあなたは……」



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