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可奈さん
第14章 可奈さん
「拓也さ……」
責めるつもりはなかった。
「あれですか、所詮金ですか?」
「そうよっ、お金よ!」
「っ……」
彼女は堂々と、俺にそう言い切った。
「嘘だ」
きっと彼女は、狭くてボロボロのアパート暮らしなんてできない。
「嘘じゃないわ。言ったでしょ、薄汚れてるって」
愛さえあればなんとかなるなんて、現実を想像できない自惚れ屋の妄想。
ただの世間知らず。
「嘘だ!可奈さんはそんな人じゃない!」
「だから、私はあなたが思ってるような……」
「違う!」
俺は、彼女を抱きしめていた。
「………」
彼女の身体から、柑橘系の……ムスクの匂いが漂ってきた。
息をする度に、嫌悪感が増していく。
あの男に組み敷かれ、慌てて心に封をしても、そのうち、執拗な愛撫に耐えきれずに、歓喜の声をあげてしまう。
そうだ、本物の男を知って、繰り返し、何度も何度もそうなる。
アイツの匂いが染み付いていく。
金の為に……。
責めるつもりはなかった。
「あれですか、所詮金ですか?」
「そうよっ、お金よ!」
「っ……」
彼女は堂々と、俺にそう言い切った。
「嘘だ」
きっと彼女は、狭くてボロボロのアパート暮らしなんてできない。
「嘘じゃないわ。言ったでしょ、薄汚れてるって」
愛さえあればなんとかなるなんて、現実を想像できない自惚れ屋の妄想。
ただの世間知らず。
「嘘だ!可奈さんはそんな人じゃない!」
「だから、私はあなたが思ってるような……」
「違う!」
俺は、彼女を抱きしめていた。
「………」
彼女の身体から、柑橘系の……ムスクの匂いが漂ってきた。
息をする度に、嫌悪感が増していく。
あの男に組み敷かれ、慌てて心に封をしても、そのうち、執拗な愛撫に耐えきれずに、歓喜の声をあげてしまう。
そうだ、本物の男を知って、繰り返し、何度も何度もそうなる。
アイツの匂いが染み付いていく。
金の為に……。