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可奈さん
第14章 可奈さん
「全面改装して、まるで違う店になってる。若い女性が入りやすいような雰囲気だな。スタッフもみんな若い」

「そうですか」


俺は箸を置き、「ごちそうさまでした」と言って水を飲んだ。


「じつは火の車だったらしいんだ」

「え?」

「可奈のお陰で何とか持ち直したって言ってたな。あいつ、ただの平社員だったのに、どうなってんだ」

「……」

「ここに来た最後の晩、可奈の様子が変わってたよな。
あいつが別の店に移る事で"雅"が残ったのか?
訳わかんねえな。そんな事する義理があるのか?いったい何なんだ……」

「義理?」


俺は、可奈さんが秘書を辞めて"雅"で働き出したのは、長谷川の紹介だった事を思い出した。

全ての事情を飲み込んだ上で、瞳さんは心よく可奈さんを引き取った。


──凄くお世話になってるの


可奈さん……


金の為なんかじゃない。

長谷川の懇意にしていた人、自分を引き取ってくれた人を放っておけなかったんだ。

彼女はみんなに本当の事を隠した。

俺にも。




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