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可奈さん
第14章 可奈さん
彼女は、舞い込んできたチャンスに、喜んで飛び乗るようにしてみせた。
あの貴之とかいう男が出した条件と交換に、可奈さんも"雅"を救うという条件を出したんじゃないのか。
「拓也、お前何か知ってる?」
俺はその時、彼女の悲しい企てを、黙っているしかないと思った。
何もできなかった俺が唯一出来る事。
彼女があんなに必死になってついた嘘に騙され続ける事。
「俺は、何も知りません。でも、一番いい方法を可奈さんが選んだんじゃないですか?」
「……そうか。
そうだな。あいつは、いつもそうしてきたのかもな。
俺と小山を一緒にふったようなやつだからな、ははっ」
可奈さんが隣でクスクス笑っている気がした。
「おい拓也」
「はい」
「お前、大人になったなぁ……。ほら、俺の奢りだ。バイクじゃないんだろ、これ飲んでけ」
2つのグラスにビールが注がれた。
「修平さん、仕事中ですよね」
「なに言ってんだよお前。げっそりした顔で店に入ってきやがって。こっちはヒヤヒヤしてたんだから、これくらい、気分直しに丁度いいんだよ、ほら、失恋男に乾杯」
あの貴之とかいう男が出した条件と交換に、可奈さんも"雅"を救うという条件を出したんじゃないのか。
「拓也、お前何か知ってる?」
俺はその時、彼女の悲しい企てを、黙っているしかないと思った。
何もできなかった俺が唯一出来る事。
彼女があんなに必死になってついた嘘に騙され続ける事。
「俺は、何も知りません。でも、一番いい方法を可奈さんが選んだんじゃないですか?」
「……そうか。
そうだな。あいつは、いつもそうしてきたのかもな。
俺と小山を一緒にふったようなやつだからな、ははっ」
可奈さんが隣でクスクス笑っている気がした。
「おい拓也」
「はい」
「お前、大人になったなぁ……。ほら、俺の奢りだ。バイクじゃないんだろ、これ飲んでけ」
2つのグラスにビールが注がれた。
「修平さん、仕事中ですよね」
「なに言ってんだよお前。げっそりした顔で店に入ってきやがって。こっちはヒヤヒヤしてたんだから、これくらい、気分直しに丁度いいんだよ、ほら、失恋男に乾杯」