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可奈さん
第5章 来訪者

クスッと力無く笑う彼女の表情には哀しいあきらめの色が見えた。
「奥様は何を思っていたのかしら。
毎回報告してくる運転手の言葉を聞き、夜中に家に戻って来る夫の姿を見て…。
私は自分がこの世で一番幸せな女だと信じて疑わなかった。誰にも知られず、彼を本当に支えてあげているのは私で、私こそが誰よりも彼を愛しているんだって…」
俺の心はギシギシと軋み、手のひらの汗を何度も腿に擦りつけた。
最低な男じゃねぇか…
「奥様はなぜか急に私の目の前で、いつもきちんと着こなしているお洋服の上をサッと脱いでいくの」
「え…」
「40代後半に癌を患ってから、夫には1度も肌をみせておりませんでした、って仰った」
「あの…」
「下着まで脱いで露になった胸が…、片方の乳房が、…なかったの…」
「ッ…」
湯呑みがカタカタとテーブルを叩く。
「可奈さん…」
「何も知らなかった。
それにまさか…奥様がそこまでなさるなんて」
「奥様は何を思っていたのかしら。
毎回報告してくる運転手の言葉を聞き、夜中に家に戻って来る夫の姿を見て…。
私は自分がこの世で一番幸せな女だと信じて疑わなかった。誰にも知られず、彼を本当に支えてあげているのは私で、私こそが誰よりも彼を愛しているんだって…」
俺の心はギシギシと軋み、手のひらの汗を何度も腿に擦りつけた。
最低な男じゃねぇか…
「奥様はなぜか急に私の目の前で、いつもきちんと着こなしているお洋服の上をサッと脱いでいくの」
「え…」
「40代後半に癌を患ってから、夫には1度も肌をみせておりませんでした、って仰った」
「あの…」
「下着まで脱いで露になった胸が…、片方の乳房が、…なかったの…」
「ッ…」
湯呑みがカタカタとテーブルを叩く。
「可奈さん…」
「何も知らなかった。
それにまさか…奥様がそこまでなさるなんて」

