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可奈さん
第6章 風
カラオケに行く約束をした時に連絡先を交換できた俺は、毎日でも聞きたい彼女の声を必死で我慢した。

可奈さんの休日を教えてもらい、ピザ屋の店長が作るシフト表に希望の休みを入れてもらった。

バイクのクセをつかむ為に一人で何度か遠出し、オイルも換えて洗車もした。

あとは可奈さんが必要。

来るとわかっている人を待つワクワク感に胸が躍る。これで後ろに乗っかられたら、どうしよう俺。

落ち着け
落ち着け

安全運転
安全運転…


「…ッ……」


エントランスから出てきた彼女は、細いジーンズに薄手のジャケット、中に白いシャツを覗かせていた。

いやそうじゃない、

エントランスから出てきた彼女は、まだ高い太陽を眩しそうに確認して手のひらで遮り、俺を見つけて足早に近付いてきた。


「お待たせしました」


彼女には笑顔が似合う。

どんな人混みの中からでも簡単に見つけられる。


だって輝いてるんだぜ。



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