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可奈さん
第6章 風
「はぁい」


車体に軽い振動を感じて胸が高鳴った。


「座りました」

「じゃあ、俺に掴まってください」

「ど、どこを触ればいいの?」

「あはは、触るんじゃなくて掴むんです。腰の辺りを。あ、そうだこれ使ってください」


俺はライダ-スジャケットに忍ばせていた指なしのレザーグローブを手渡した。俺とお揃い。


「ありがとう。でも、いいの?」

「もちろんです。
革手は滑りにくいからいいんですよ。手が俺から離れたら後ろに吹っ飛びますから」

「えーっ」


ちょっと大袈裟に言ってみたけど効果はあったらしく、可奈さんは慌ててグローブを着けいきなり肩にしがみつく。


「か、可奈さん…」

「吹っ飛ばさないで…」


面白いな


「腰です腰」


彼女の両手首を掴み俺の腹の辺りに持ってくると、可奈さんは「失礼します」と言って左右の指を交差してギュッと握った。


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