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可奈さん
第6章 風
エンジンをかける。
トットットットッ…
静かに息をし始め、ふかすと掠れた金属音がうなる。
「ゆっくり走ってね」
後ろから不安そうな声。
「速いバイクじゃないから大丈夫です」
「そう」
「どこに行きますか?」
「え?」
「行きたい場所は?」
「どこでもいいの?」
「どこでも連れてってあげます」
「…じゃあ、…海」
「え?…エンジンの音でよく聞き取れないな…」
再び軽くふかす。
「海!…海が見たい!」
「海…、わかりました。じゃあ出発します」
後ろを確認して右のグリップを引いた。
「キャー、動いた」
凄い力で腰にしがみつく手。背中に柔らかな胸があたる。
ヘヘッ…嬉しい。
でもそんなに必死になると疲れてしまうだろう。
交差点の信号がちょうど赤になった。
トットットットッ…
静かに息をし始め、ふかすと掠れた金属音がうなる。
「ゆっくり走ってね」
後ろから不安そうな声。
「速いバイクじゃないから大丈夫です」
「そう」
「どこに行きますか?」
「え?」
「行きたい場所は?」
「どこでもいいの?」
「どこでも連れてってあげます」
「…じゃあ、…海」
「え?…エンジンの音でよく聞き取れないな…」
再び軽くふかす。
「海!…海が見たい!」
「海…、わかりました。じゃあ出発します」
後ろを確認して右のグリップを引いた。
「キャー、動いた」
凄い力で腰にしがみつく手。背中に柔らかな胸があたる。
ヘヘッ…嬉しい。
でもそんなに必死になると疲れてしまうだろう。
交差点の信号がちょうど赤になった。