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可奈さん
第6章 風
「わー、おもしろーい」

「どうしたんですか?」


楽しそうなその声に思わず質問。


「見て見て、点線が伸びてくる」

「……えっ?」


いきなり何だ。


「ほら、ずーっと先を見ると白い点線なのに近づいてくると伸びてきて線になるの、ほら、ほらね」


どうやらセンターラインの破線の見え方に感動しているらしい。

女の子はそんな事が楽しいのか。
女の子……てへっ。
ここは同意しておこう。

「ホントだ、よく気がつきましたね」

「でしょ~」

「たしか5メートル間隔のはずですよ」

「ふーん」


気を良くしたのか可奈さんは鼻歌を歌いだす。

随分前に流行った歌だけど聴いているうちに笑いが込み上げてきた。

あぁ……
可奈さん、歌ヘタ。

クククッ…


「どうしたの?」

「いえべつに」

「なによ」

「歌が…」

「なによ」

「へんですよ」

「えーっ、失礼ね、じゃあもう歌わない」



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