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遠回りしたけど
第10章 ちょこっとおまけ◇大輝side



ちょっと腕を掴んだつもりだった。

でも自分からなおに触れたことが嬉しくて、ドキドキして、思いっきり引っ張ってしまった。

俺の腕の中に閉じ込めたくなったけど、そんなこと急に出来ないし、どうしようかと思っていたらその場に押し付けて腰に手を回していた。

薄暗い場所で大好きな人に触れている。

それだけで充分だった。

充分なはずだったのに。

俺の手は、なおの服の中へとどんどん進んでいく。

少し汗ばんでいるなおに余計にドキドキする。

暑くて汗をかいているの?

それとも、俺にドキドキしているの?

俺はすごくドキドキしているよ。


気が付いたら、なおは俺の腕の中からいなくなっていた。

だから追いかけた。

手に入れたい。

俺のものにしたい。

ただ、それだけだったんだ。

それなのに。


なんで俺は素直になれない?


好きだ、って一言言えばいいだけなのに。


「したい」なんて、なんで言った。

いくら興奮したからって、あれはなかったって、なおと会えなくなってから思った。

でも、次に会えたときに謝ればいいって思ってたんだ。

なおなら、ちゃんと話せばわかってくれる。

まさか、あれからずっと会えないことになるだなんて、思ってもみなかった。

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