この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
遠回りしたけど
第5章 素直になってよ
その頃はまだ、忍のほうが
どちらかといったら大人っぽくて、
今は大輝のほうが忍より背が高くて
顔もかっこよくなっちゃってさ。
ほんと、生意気・・・。
「なお」
今日もわたしの名前を呼ぶ、あの声。
でもわたしは振り向かない。
「なお?」
だぶんもう大輝は教室に入って来ていると思う。
でも、振り向かない。
振り向けない。
だって、
わたしは泣いていたから。
大輝がわたしの名前を呼ぶ声を聞いただけで
涙が出てきてしまっていたから。
わたしはたぶん・・・
大輝のことが、好きだ。