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第4章 接近

轟音が、まっすぐにこちらの方角に向かってくる。

何台もの大型バイクが、狭い山道を走り抜け、集落のエリアに近づいてくる。

「最近多いな、こいつら」

大介もまた、顔をしかめてそう言った。

このところ毎晩、バイクの騒音がこの近辺を訪れ、静寂をたっぷりと乱し、去っていくことを繰り返していた。

「兄さん、あいつら堀内さんのところの連中だぜ」

「堀内？」

「トンネル工事で働く連中だよ。不良あがりの若者も少なくないって噂だ。昼間の労働のうっぷんでも晴らしたいのか、バイクで暴れまわっていやがる」

大介は、1年ほど前の記憶を思い出した。

堀内の会社の現場を訪問した際、確かに茶髪の若者が何人かいた。

彼らは大介を、そして妻のことを、興味深そうにじっと見つめてきたものだ。

あの連中がバイクに乗っているというのか・・・・・。

「しかし、少し妙なんだよね、兄さん」

「妙？」

「この近辺に奴らがくることは、これまでほとんどなかった。最近だよ。我が家をターゲットにしてるみたいに、目の前の道を往復するようになったのは」

弟の言葉に、大介は妙な胸騒ぎを覚えた。

妻をからかうように重ねられた若者たちの口笛の音が、大介の耳元で再び響く。

「俺は、堀内とは一切関わりたくない。これだけは確かだよ」

大介は、自分自身に言い聞かせるように、そうつぶやいた。

だが、現実は彼の望み通りには運ばなかった。

それから何日か経った頃、堀内雄三が、突然、大介の自宅に現れたのだ。