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Could you walk on the water ?
第4章 接近
堀内が突然大介の自宅を訪問したのは、5月のある週末の夜だった。

大介夫婦、そして隣に住む剛もまた、自宅にいた。

「狭いところで何もできませんが、どうぞお入りくださいませ」

沙織は、戸惑いながらも手早くダイニングを片付け、堀内をテーブルに案内した。

「すみませんな。あの・・・・、奥様ですね」

「失礼いたしました。大介の妻、沙織と申します・・・・、以前、工事現場の」

「ええ、よく覚えていますとも。沙織さんですか。いいお名前だ」

慌ててこちらにやってきた剛も含めて、3人が堀内を迎えた。

ネクタイ姿の堀内に、何か特別な用件があることは明らかだった。

会話を切り出したのは、堀内だった。

「大介、突然訪問してすまんな」

「何か用件でもあるのか、堀内」

かつて劣等生であった幼馴染に対し、大介はどこまでも攻撃的な態度だった。

こんな男に自分がなぜ低姿勢で臨まねばならないのか。

大介の表情には、そんな不満がはっきり浮かび、堀内もまたそれを察しているようだった。

「大介、単刀直入に言わせてもらうぜ。カフェのほうはうまくいってないんだろう」

「堀内・・・・・・」

「別に調べ上げたわけじゃない。だが、狭い町だ。お前が何を始めて、どんな状況かってことぐらい、すぐに聞こえてくる」

「お前には関係ない」

「ははは、そりゃ関係ないさ。クラスの優等生が落ちぶれて苦しんでいる。ある意味、俺にはそんな光景は痛快だぜ」

堀内は、沙織が提供したお茶を遠慮なく飲みながら、そういった。

「堀内さん、兄に向かってそんな言い方はないでしょう」

剛が思わず、堀内に反抗的な姿勢を示した。
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