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第19章 変貌

「すみません・・・・・、じゃあ、最後とさせてください・・・・・・・・、沙織さんは、あの・・・・、とてもお美しいですね」

「ありがとう。自分では全くそう思ってはいないんですが。ほんとよ」

「いえ、とてもお綺麗で、憧れてしまいます」

「お上手ね。でも、マスコミ各社への対応は、うちはいつも公平よ。ふふふ」

「あ、あの・・・・、沙織さんは再婚される予定はないんでしょうか」

唐突なその質問に、沙織は一瞬言葉に詰まった後、すぐに答えを返した。

「正直に答えたほうが記事としてもいいのかしら。あなたの成績もあがるわね」

「い、いえ、そんな・・・・・・・」

「いろいろと噂になっているかもしれませんが・・・・。実は、前の夫との再婚を考えてるんです」

その瞬間の沙織の表情を、再びカメラがとらえた。

「ご存知でしょう、前の夫が問題を起こして、収監されていることを」

「はい・・・・・・・」

「彼もじきに刑期が満了して、社会復帰するわ。そのときまた一緒になるかもしれません。勿論、まだ決定したわけではありません。記事にもはっきりそう書いておいてね」

「では、最初にご結婚された、相本大介さんと」

「ええ・・・。ただ、彼にこの会社を手伝ってもらうつもりはないわ。自分で始めたカフェがまだ存在しているの。だから、そちらに専念してもらうつもりです」

「このことは、大介さんとは既に？」

何気ないその質問の直後、その美しい女性社長の表情に僅かな戸惑いの気配が走ったことに、しかし、女性記者もカメラマンも気づくことはなかった。