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Could you walk on the water ?
第5章 困惑
大介が妻を最後に抱いてから、もう何年もの月日が経過している。

あれは、会社のリストラ騒動が始まったころだろうか。

「沙織、すまん、今日は駄目だ・・・・・・」

ある夜、大介は自らのものが不能になっていることに気付いた。

40を過ぎたとはいえ、まさか老け込む年齢ではない。

自分がそんな状態に追い込まれることなど、大介はまるで予想していなかった。

まして、周囲がうらやむほどの美貌を誇る妻の体を抱こうとしているのだ。

「あなた、いいのよ。きっと仕事で疲れているのよ」

沙織は、夫の打ちひしがれた姿を、決して責めようとはしなかった。

そもそも、2人の夜の営みはそれほど盛んなものではなかった。

結婚直後はさておき、しばらくの後は週1回のペース、そして更に間隔を置くようになっていった。

大介自身、妻の前にほとんど女性経験はない。

それに、彼は時間をかけて女性を抱くことができなかった。

毎回、その状態になっても1分も経過せずに自らの満足に達していた。

果たして妻が、こんな夫の行為に満たされているのだろうか。

大介の胸の奥には常にそんな不安が存在し、それが今の不能の一つの要因になっているのかもしれなかった。

仕事を辞め、故郷に戻ってからも、大介の肉体は回復しなかった。

2人の間では、やがて触れ合う機会も少なくなっていた。

だが、働き始めた妻の姿が、大介に新しい刺激を与えようとしていた。

別の男たちの視線にさらされる妻。

一日、汗と泥にまみれて働いた肉体労働者たち。

そんな彼らが夕食時に酒をあおり、肉感的な妻の体をどんな風に見つめるのか。

大介には、それが容易に想像できた。

男たちの視線によって妻の魅力が増していることも、また、明らかだった。
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