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Could you walk on the water ?
第6章 陵辱未遂
妻の帰宅に、後からついてくるバイクの轟音は激しさを増していた。

明らかにそれは、妻を追い込み、挑発するような乗り方だった。

大介はもう、じっとしていることができなかった。

弟の提案通り、大介は妻の勤務先に密かに潜入することを何度も考えた。

だが、その決断が、大介にはどうしてもできなかった。

そんな現場を妻に、或いは堀内に見つけられたなら・・・・・・・・・・。

それを避け、大介はまずは別の計画を思い描き、実行に移すことに決めた。

バイクの連中の正体を暴くのだ。

「よし、今夜だ・・・・・」

その夜、早々にカフェを閉めた大介は、自らの車で、妻が働くトンネル工事現場に向かった。

夏の夜の闇が深さを増しつつある。

蒸し暑く、冷房の効いた車内にいても、じっとりと汗ばむほどの夜だった。

曲がりくねる山道を走り、大介はやがて現場に近づいた。

寮の至近距離に行くのはまずい。

幸い、数百メートル離れた場所に、車が何台か停められる空き地があった。

岩陰になったその場所に密かに停車させ、エンジンを切り、大介はそっと待った。

周囲の虫の音が、逆に静寂を際立たせている。

「そろそろだろう・・・・・」

午後11時を過ぎたころだった。

寮の方角から、1台の車が走り出す気配が聞こえてきた。

エンジンキーをまわし、大介は緊張を高めた。

目の前の道路は闇に包まれているが、大介は確かにその車が走り去ったのを見た。

妻の車だ。

大介は急ぎ、それを追おうとした。

だが、すぐ後尾から、3台の大型バイクが轟音を立てて妻の車を追ってくる。

ヘルメットもかぶらず、怒鳴り、口笛を吹きながら、勢いよく走り去る男たちの顔を、大介ははっきり見た。

あの日、堀内の背後に立っていた若者の姿がそこにあった。
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