この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Could you walk on the water ?
第2章 都落ち
「兄さん、遠路はるばる疲れただろう」

弟に注がれるビールの味は、また格別だともいうように、大介は相好を崩した。

2世帯住宅に生まれ変わった実家。

そのダイニングで、大介夫婦は旅の疲れを癒すように、夕食の時間を過ごした。

大介の弟、剛が兄夫婦をもてなしていた。

「長いお勤めだったからなあ。実家のことはお前に任せ、俺は東京で20年以上」

「ほんとにこっちで暮らすつもりなのかい、兄さん?」

「そのつもりだ。もう、都会なんか絶対に帰らないさ」

「姉さんはそれでいいのかな」

大介の隣に座る沙織の姿を見つめ、剛は心配そうに言った。

白地のブラウスに控えめな色のカーデガン、そしてベージュ色のパンツルックという格好の人妻は、決して派手な服装ではないが、都会の洗練された雰囲気を濃厚に漂わせていた。

大介の弟、相本剛は今年37歳になる。

兄とは6歳離れている彼は、未だ独身を貫いている。

野暮ったさが残る兄とは異なり、涼やかなルックスを持った、好青年であった。

彼は故郷のこの町で会計事務所を開き、立派に自立して生活を送っていた。

弟の問いかけに、沙織は静かに答えた。

「私は、主人を信じてどこまでもついていくだけですわ」

剛はしばらく沙織を見つめた後、重苦しい雰囲気を溶かすように言った。

「兄さんはいい奥さんをもらったもんだなあ。うらやましい」

「そういうお前はまだなのかい、結婚」

「こんな田舎に嫁さんに来てくれる女性なんて、いまどきなかなかいないぜ」

ビールを片手に兄に答えた後、何かを思い出したように剛は続けた。

「兄さん、そういえば同級生だった堀内さんって覚えているだろう?」

「堀内・・・・・・・、堀内雄三か・・・・・・・・・・」

大介の表情に、一瞬陰が走ったことに、沙織は敏感に気づいたようだった。
/117ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ