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Could you walk on the water ?
第8章 浴室接待
白石が食堂に来ることは今回はなかった。

隣に建てられた、やや小規模な小屋に堀内にいざなわれる彼の姿を、大介は山崎と共に見つめた。

「あの建物は?」

「あっちは風呂場だよ」

「風呂場?」

「従業員用の大浴場にVIPが宿泊する場合の個人風呂。両方あるぜ」

「・・・・・・・・・・」

「社長、この様子じゃほんとに奥さんに風呂の世話をさせるつもりなんだろう」

大介は、その光景を想像するだけで、胸の内が激しく渦巻くことを感じた。

「過去に、あの奥さんはそんなことをしたことがあるのかい」

大介はその質問をせずにはいられなかった。

豊岡という若者が言った言葉の真偽を確かめるように。

「何人かの役人に最後までさせたっていう噂もあれば、そこまでは社長が許していないっていう噂もある。つまり、社長が自分の女にしておきたいってことだろう」

「自分の女?」

「噂だがな。社長はあの奥さんを自分の女にしようと、採用したらしいぜ」

狡猾そうに笑う山崎は、大介の困惑に気づくことはなかった。

「そろそろいいかな。飯も食いたいし、変な場所で捕まりたくもないからな」

「山崎さん、いろいろ悪かったですね」

「無理するなよ。この辺では堀内工務店にはたてつかないほうがいい」

「・・・・・」

「社長のネットワークはこわいからな・・・・。さてと、今夜は奥さんのストリップはなさそうだな」

最後まで大介を惑わしたまま、山崎は薄闇に染まりつつある空間に溶け込むように姿を消した。

背後にその建物がある。

確かに湯気の気配がそこから漂ってくる。

大介は、周辺に視線を投げながら建物を観察し、屋内にそっと潜り込んだ。
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