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Could you walk on the water ?
第11章 夫の目の前で
「大介、これは俺たちの和解の宴だ。それでいいよな」

9月半ばのある夜、大介は自宅に彼を夕食に招いた。

ダイニングテーブルに、3名が座った。

今夜のゲストである堀内雄三は、開襟シャツにスラックスという格好だった。

その目の前に、ホストである相本大介がストライプ柄のワイシャツにチノパンという服装で座っている。

ホストの妻、沙織は、白色のシャツに膝丈の黒色タイトスカートで肢体を包み、ゲストの隣に座らされた。

和解の宴という言葉に、大介は内心、苦い思いを抱かずにはいられなかった。

和解の宴などではない。

これは強制された食事会なのだ。

「今度お前の家で食事でもしようじゃないか。奥さんも一緒にな。それならば、告訴のことは考えてやってもいい」

堀内のこの提案は大介のみならず、沙織にももたらされた。

妻、沙織は、大介が犯した行為を全て理解した。

「あなた、本当なんですか・・・・・・」

「沙織、俺は、どうしても不安が拭いきれなかったんだ・・・・・」

深く詫びる夫に対し、妻はしかし、寛容に許し、自らに責を帰そうとした。

「全て私が悪いんです・・・・、あなたに黙って、私、あんなことを・・・・」

「お前は堀内に強制されただけだ。悪いのはあの男だよ・・・・・・・」

「あなた、信じてください・・・・、いつだって私はあなたを・・・・・・」

「当たり前じゃないか。どこまでも俺は沙織のことを信じている」

夫婦は互いの絆を改めて確認した後、堀内を招待することに決めた。

全てをイーブンな状況に持っていくためには、それしかないとの判断だった。

告訴という切り札を持っている相手に、抵抗するのは逆効果だとも考えた。

「剛さんに相談したほうがいいんじゃないでしょうか」

沙織はただ一度だけ、不安げに夫にそう提案した。

だが、大介は、結局この経緯を隣家に住む弟、剛に相談することはなかった。
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