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Could you walk on the water ?
第14章 決意
秋の虫の音が、うるさいほどに鳴き続けている。

大型の住宅が並ぶこのエリアは、狭い田舎の町でも、高所得の世帯が住む特別なエリアであった。

彼は、闇に溶け込むように、全身を黒で包んでいた。

午前3時をまわっている。

全てを調べ上げ、計画を練り上げた彼は、予定通りの時刻に目的地に到達した。

闇に浮かぶ表札を見つめ、彼は決意を固める。

駐車スペースを確認し、車がそこにあることを確認する。

広大な敷地を誇るその家の裏側にまわりこみ、家屋のすぐそばに接近する。

そして、敷地内に侵入する。

標的者がこの瞬間、どの場所にいるか、全て調べはついている。

そのすぐ裏側にまで、彼は接近する。

緊張を高めつつ、彼は周囲に視線を投げる。

誰もいない。

このような夜更けに、いるわけがないのだ。

全てが俺に味方しているはずだ。

彼は成功を確信し、用意していた液体を、計画通りの場所に丁寧に広げていく。

珍しく、雨は何日も降っていない。

空気は十分すぎるほどに乾燥している。

そして、木造のこの家屋も・・・・・・・・・・。

ただ1人でここに住む人物の姿を想い描きながら、彼は全ての準備を終える。

やれっ・・・・・・・・・・、やっちまえ・・・・・・・・・・・・・・・・

そんな叫び声が胸の奥で繰り返される。

だがそれは不要だった。

彼には迷いなど、微塵もないのだから。

シュッ・・・・・・・・・

手元が赤く染まり、確かな熱を帯びる。

その小さな火を、彼はゆっくりと地表に近づけていく。

さらばだ・・・・・・・・・・・。

彼が、心の中でそう叫び、愁いの混じった笑みを浮かべた瞬間だった。

「動くな!」

背後から煌々とした灯りに照らされ、彼はその場に立ちすくんだ。

振り返った彼の視線に、懐中電灯を持った制服姿の警察官が捉えられた。
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