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Could you walk on the water ?
第16章 秘密計画
「剛、お前、本気か」

弟の剛が大介の面会に訪れたのは、堀内が来てからしばらくのことだった。

もう何度もここを訪れている弟だが、今日の様子はいつもとは少し違った。

「兄さんの苦しみが、ようやく俺にも理解できたんだ。随分遠回りしたけど」

剛は静かな口調でそうつぶやきながら、兄の顔を見つめた。

「手紙は読んだだろう、兄さん?」

「ああ。だが、まだ俺にははっきりとはお前の気持ちが」

「検閲を考えたら、あれ以上は書けなかった。勿論、ここでも説明できない」

「剛・・・・・・・・・」

2人はただ視線だけを交錯させた。

幼年時代に野山を駆け回ったころの記憶が、2人に蘇る。 

6歳違いという年の差が、2人を逆に親密な兄弟としていた。

「兄ちゃん!待ってよ!」

「剛、ほら、こっちだ!」

あの頃は、互いの目を見るだけで、何を考えているのかが理解できた。

それは、30年以上の歳月が経過しても、同じだった。

「しかし、剛・・・・・・・」

「大丈夫。全てうまくいく・・・・・・・、それに・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「姉さんも賛成してるんだ・・・・・・・・・・」

それ以上の説明は二人には不要だった。

互いの近況を簡単に伝えあった後、剛はそこを立った。

「トンネルが開通するのは半年後、来春らしい」

「来春・・・・・・」

「春になればいろいろ変わるさ、兄さん」

「春になれば、か・・・・・・・・・・・・・・」

その言葉を十分に噛みしめ、そして、去っていく剛に、大介は告げた。

「わかった。沙織と離婚するよ」
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