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Could you walk on the water ?
第17章 決行
「ここに、○○トンネルの開通を高らかに宣言いたします!」
司会者の発声にあわせ、快晴の春空に、何羽ものハトが飛び立っていく。
100名は軽く超すであろう、セレモニーの多くの出席者が、拍手とともにそれを見つめた。
5年以上を費やした大型トンネルの開通とあって、地元だけでなく全国ネットのメディアもかけつけている。
国、県、町、それぞれの関連部署の役人、工事を手掛けたゼネコン関係者たちが、スーツ姿でパイプ椅子に並んでいる。
何名かの挨拶、祝辞、そしてテープカットに記念撮影。
お決まりの式次第が淡々と進められていく中、出席者たちの関心は下世話なものに変わっていた。
主賓として招待されているゲストの中に、美しいドレス姿の女性がいる。
シックな紺色のワンピースに包まれた肢体は、周囲の誰もの視線を引き寄せるほどの、魅力をたたえていた。
盛り上がった胸元、そそるような曲線を描くヒップライン、そして、きゅっと締まった腰のくびれ。
整った顔つきは、その女性の聡明さをも示していた。
「誰だい、あの女性は?」
メディア関係者が小声で話しながら、密かにカメラを向け、撮影を繰り返す。
レンズの中では、彼女の熟れた魅力は、一層際立つように見えた。
「地元のゼネコン社長の奥さんらしいですね」
アルバイトの学生が、自らの調査結果を小声でカメラマンに伝える。
「だから主賓席にいるか。名前は何ていうんだ?」
「えっと・・・・・・、堀内・・・・・・、堀内沙織さんっていう方です」
「堀内沙織、か。女優みたいな名前だけど、ルックスはそれ以上だな、おい」
彼女の隣には、その夫が誇らしげに座っている。
先月結婚したばかりの妻を、初めて公の場で披露する日でもあった。
どうだ、大介・・・・・、刑務所でも新聞くらい見るだろう・・・・・・・
心の中でそうほくそ笑んだ後、堀内は、遂に来た晴れの日に、自信満々な様子で演台に立った。
「みなさん、このトンネルは地域を想う堀内工務店、全員の成果です。どうか、うちの従業員を褒めてやってください!」
万雷の拍手が沸き起こる中、式典会場を遠くから見つめている茶髪の男がいた。
司会者の発声にあわせ、快晴の春空に、何羽ものハトが飛び立っていく。
100名は軽く超すであろう、セレモニーの多くの出席者が、拍手とともにそれを見つめた。
5年以上を費やした大型トンネルの開通とあって、地元だけでなく全国ネットのメディアもかけつけている。
国、県、町、それぞれの関連部署の役人、工事を手掛けたゼネコン関係者たちが、スーツ姿でパイプ椅子に並んでいる。
何名かの挨拶、祝辞、そしてテープカットに記念撮影。
お決まりの式次第が淡々と進められていく中、出席者たちの関心は下世話なものに変わっていた。
主賓として招待されているゲストの中に、美しいドレス姿の女性がいる。
シックな紺色のワンピースに包まれた肢体は、周囲の誰もの視線を引き寄せるほどの、魅力をたたえていた。
盛り上がった胸元、そそるような曲線を描くヒップライン、そして、きゅっと締まった腰のくびれ。
整った顔つきは、その女性の聡明さをも示していた。
「誰だい、あの女性は?」
メディア関係者が小声で話しながら、密かにカメラを向け、撮影を繰り返す。
レンズの中では、彼女の熟れた魅力は、一層際立つように見えた。
「地元のゼネコン社長の奥さんらしいですね」
アルバイトの学生が、自らの調査結果を小声でカメラマンに伝える。
「だから主賓席にいるか。名前は何ていうんだ?」
「えっと・・・・・・、堀内・・・・・・、堀内沙織さんっていう方です」
「堀内沙織、か。女優みたいな名前だけど、ルックスはそれ以上だな、おい」
彼女の隣には、その夫が誇らしげに座っている。
先月結婚したばかりの妻を、初めて公の場で披露する日でもあった。
どうだ、大介・・・・・、刑務所でも新聞くらい見るだろう・・・・・・・
心の中でそうほくそ笑んだ後、堀内は、遂に来た晴れの日に、自信満々な様子で演台に立った。
「みなさん、このトンネルは地域を想う堀内工務店、全員の成果です。どうか、うちの従業員を褒めてやってください!」
万雷の拍手が沸き起こる中、式典会場を遠くから見つめている茶髪の男がいた。