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Could you walk on the water ?
第17章 決行
豊岡が最後に堀内を見たのは、いつもと変わらぬその屈強な後姿だった。

メディア連中を従え、彼はトンネルの中の闇へ意気揚々と消えていった。

誇らしげなその背中は、幼馴染の男にこう訴えているようだった。

悪く思うな、大介。沙織はもう、俺の女だ・・・・・・・。

トンネルの中央に、そのテープカット台は設置されている。

その壇上に、堀内はただ一人で立つことになっている。

全長の長い難工事であったことを伝えるように、堀内はメディアに自分を遠距離から撮影することを要求した。

一筋の光にも似たトンネルの中、堀内の姿が小さく浮かび上がる。

堀内は、この撮影のために、トンネル内の照明全てを消し、漆黒の闇を準備することを求めた。

その甲斐もあり、向こう側の街から僅かに届く光源が、堀内の輝かしい実績を象徴するように、まっすぐにこちらに差し込んだ。

「演出好きの社長だな、しかし」

「噂じゃ、あの美形の奥さんの提案らしい」

「しかし、張本人の奥さんの姿が見えないじゃないか」

「役人の接待に忙しいんだろう」

トンネル内の100メートルほどの離れた場所に、メディア席が設けられた。

堀内は壇上に立ち、はるか遠くにいる彼らに叫んだ。

「皆さん、よし、撮影開始だ!」 

堀内の合図とともに、シャッター音がトンネル内に鳴り響いた。

カシャカシャカシャ・・・・・・・・・・・・  

その直後だった。

******

たばこをもみ消し、セレモニー会場を立ち去ろうとした豊岡の背後から、爆発音が聞こえた。

「トンネルだ!」 

誰かが叫び、豊岡は視線を凝らした。 

入口から僅かな煙が漏れ出し、メディアの連中が慌てて走り出してきた。

「事故だ! 爆発だ!」 

「メディア連中は無傷だが、社長がやられちまった」

「おい、救急だ、早く救急を呼べ!」  

皆が口々に叫ぶ中、豊岡はとっさに彼女の姿を探した。

堀内沙織は、テント内で来賓の役人と話をしていたようだった。

騒ぎの瞬間、人妻の表情に僅かな笑みが走ったことを、豊岡は永遠にその記憶に刻み込んだ。
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