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Could you walk on the water ?
第18章 喪服未亡人
葬儀は盛大なものだった。

山間部に位置するこの町随一の規模を誇る寺で、堀内雄三の葬儀は執り行われた。

通夜当日は、春の雨が寺の石畳をしっとりと濡らす夜だった。

「お悔やみ申し上げます・・・・・・」

「何と言ったらよいのか・・・・、本当に突然のことで・・・・・・・・・」

「故人様には本当にお世話になったんです・・・・・・・・」

堀内工務店の業容を示すように、県内、県外から参列者は、軽く千人を超えた。

その誰もが、喪主席にいる美しい人妻の姿に目を奪われた。

終始ハンカチを手にし、夫の亡骸のそばから離れようとしない妻の姿は、参列者皆の涙を誘った。

上品なちりめんで仕立てられた黒色のその着物は、黒紋が施された、相当に高級そうな喪服であった。

黒色の帯で締められたウエストから下方、長く伸びた人妻の下半身を、更に強調するような和服姿であった。

「奥様・・・・・・・・、お綺麗な方ですね・・・・・・・・・・・・」

「かわいそうに。なんでも結婚されたばかりだとか」

「まあ・・・・・・」

会場内から、そんな声がちらほらと聞こえてくる。

参列者への丁重な挨拶、そして短い会話をこなしていく妻は、時折その目元をハンカチで拭っている。

「亡くなった社長さんはまだ46歳。これからって時なのにな」

「彼のワンマンで大きくなった会社だからな。さて、これからどうなることか」

雨の中、傘を手にした会社員風の2人が、会話を交わしながら姿を消していく。

そんな参列者の姿を、記帳受付の場所から密かに観察している一人の男がいた。

「奥さん、ご主人に恨みを抱くような人間に心あたりはないんでしょうか」

昨日、彼は未亡人となった沙織と1時間以上も対面し、そんな質問を繰り返した。

広瀬という姓のその男は、30代半ばに差し掛かっている。

○○県警捜査1課という名刺が、彼の喪服の胸元に隠されている。

堀内雄三は殺害された。

トンネル内での偶発的な爆死という出来事を装って。

現場からは、意図的に設置された爆薬の痕跡が、多数発見されている。

何者かが、確かな意図をもってこの地方トップの工務店の社長を殺害したのは、明らかだった。
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