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誘淫接続
第3章 第十三の接続

(2)

 ひと気のないところへ行け、という『ご主人様』の命令に従い、麻琴は前回の公園にやってきた。
 他に場所が思いつかなかった。
 公園には誰もいない。

 > 人目につかない場所を探せ
 > トイレなら・・
 > トイレはだめだ

 麻琴は公園中を見回した。
 トイレの個室以外に、人目につかない場所など見当たらない。
 麻琴は公園の角のひとつにある、植え込み一帯に目を向けた。

 > 植え込みあたりくらいしか・・
 > マキの体を隠せるか?

 その角部分は、公園の敷地外の道路とはコンクリートの壁で隔たれていて、二本の大きな木が生え、その根本あたりを低木と生い茂る雑草が覆っている。
 照明灯も奥までは十分に光は届かず、よくよく目をこらせば草木の様子が見えなくもないが、ちょっと見るだけであれば暗闇でしかない。
 草木と壁の間にしゃがみ込めば、人目にはつかない気がする。

 > 大丈夫だと思います

 麻琴は返事すると、角の方へと向かった。
 しかし、こちらからよく見えない場所ということは、逆に誰かが潜んでいても分からないということだ。
 ホームレスが寝入っているかも知れない。
 いや、もっともっと、凶暴な逃走犯でも隠れているかも知れない。
 麻琴は少し怖さを感じつつも、ゆっくりと歩を進めた。

 まずは端まで来て、角から距離を取る。
 この位置は、外との境界は網のフェンスのみである。
 誰かが見ていないか、麻琴は公園の外の住宅地を見回した。
 その様子はない。
 どこか見えにくい場所に防犯カメラがあって、それに写っていたらどうしようかと思ったが、それでも暗い場所に潜めばはっきりとは写らないはずだ。
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