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誘淫接続
第4章 切断
――何を……
――話してるんだろ……?
ずっとその場に足を止めて隆一が気づくのを待っているのも変なので、麻琴はそのまま教室へと戻った。
『今度ご一緒して頂きたい場所があるんです』
麻琴は隆一の言葉を思い出していた。
が、あれ以降、一向に誘ってくる様子はないのだ。
いや、あの日から隆一とほどんど会話していない。
会話してくれない、という方が正しいかも知れない。
隆一の、何かの誘いとも取れるあの言葉は、麻琴の聞き違いだったのだろうか。
貞操帯を装着したままという状況がもたらした緊張感と恥ずかしさで、幻聴でも耳にしたのだろうか。
かといって麻琴は、自分の方から隆一に聞くことも、話しかけることもできなかった。
スタッフと受講生というお互いの立場を相変わらず気にしているというのもあるが、もしかしたらそれは言い訳かも知れない――と思う。
見ず知らずの男に身体を責められて悦ぶような女なのだ――。
言われるままに貞操帯を隆一の前でも何食わぬ顔で装着するような女なのだ――。
そんな歪んだ自分には、隆一に片思いする資格さえないんだ――。
しかしそんなことを、自分から進んでアプローチできない理由にはしたくなくて、『立場』のせいにしておきたいのかも知れない――。
他に誰もいない事務室で、麻琴がデスクに座ってぼんやりしていると、翠が入ってきた。
翠はいつもの表情のままで、何事もなかったように彼女のデスクに座った。
そしてバインダーを開いてボールペンを手に事務仕事を始めようとした。
何かを言い出す気配は、全くない。
――話してるんだろ……?
ずっとその場に足を止めて隆一が気づくのを待っているのも変なので、麻琴はそのまま教室へと戻った。
『今度ご一緒して頂きたい場所があるんです』
麻琴は隆一の言葉を思い出していた。
が、あれ以降、一向に誘ってくる様子はないのだ。
いや、あの日から隆一とほどんど会話していない。
会話してくれない、という方が正しいかも知れない。
隆一の、何かの誘いとも取れるあの言葉は、麻琴の聞き違いだったのだろうか。
貞操帯を装着したままという状況がもたらした緊張感と恥ずかしさで、幻聴でも耳にしたのだろうか。
かといって麻琴は、自分の方から隆一に聞くことも、話しかけることもできなかった。
スタッフと受講生というお互いの立場を相変わらず気にしているというのもあるが、もしかしたらそれは言い訳かも知れない――と思う。
見ず知らずの男に身体を責められて悦ぶような女なのだ――。
言われるままに貞操帯を隆一の前でも何食わぬ顔で装着するような女なのだ――。
そんな歪んだ自分には、隆一に片思いする資格さえないんだ――。
しかしそんなことを、自分から進んでアプローチできない理由にはしたくなくて、『立場』のせいにしておきたいのかも知れない――。
他に誰もいない事務室で、麻琴がデスクに座ってぼんやりしていると、翠が入ってきた。
翠はいつもの表情のままで、何事もなかったように彼女のデスクに座った。
そしてバインダーを開いてボールペンを手に事務仕事を始めようとした。
何かを言い出す気配は、全くない。