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誘淫接続
第4章 切断
麻琴はずっと横目で翠を見続けていたが、とっさに口を開いた。
「今、東さん来てなかった?」
少しきつい口調になってしまった。麻琴は言葉を続けた。
「あ……さっき戻ってきた時に見えただけ。気づかなかった? 私が通り過ぎたの?」
できるだけ穏やかな口調に抑えたつもりだが、思うようにコントロールできていない。
翠がきょとんとした顔で麻琴を見ている。
「す、すみません、気づかなかったです……」
謝る必要のないところで『すみません』と言われると、余計にいらついてしまう。
「何か用事だったの?」
「え、えと、その……自転車の鍵を落としてなかったかって……わ、忘れ物一覧に書いてなかったし、忘れ物置き場にもなかったので、こ、ここにはないと思いますって返事を……」
「平日の昼間にわざわざ?」
「そ、その……えと……自転車使えなくて困ってらっしゃるみたいで……」
麻琴は『そんなこと聞いてないの』と言いそうになるのを必死に止めた。
代わりに深呼吸した。
翠が言葉を付け加える。
「あ……仕事で近くに来られたみたいで、そ、それで」
一応、筋は通っている。
しかし、その程度の話であんな楽しげな顔をするものだろうか?
隆一が翠に対して見せていた笑顔は、そんな感じではなかった。
『他に何の話してたの?』という言葉を、麻琴は何とか飲み込んだ。
――……仕事しよ。仕事仕事!
麻琴は目の前にあるパソコンに向かって、キーボードを打ち始めた。
しばらくして、バインダーを棚に戻そうとした翠が麻琴の後ろを通り過ぎようとした。
その時に、翠が話しかけてきた。
「あの……」
――な、何……?
――間置いて、何言い出すつもり……?
「今、東さん来てなかった?」
少しきつい口調になってしまった。麻琴は言葉を続けた。
「あ……さっき戻ってきた時に見えただけ。気づかなかった? 私が通り過ぎたの?」
できるだけ穏やかな口調に抑えたつもりだが、思うようにコントロールできていない。
翠がきょとんとした顔で麻琴を見ている。
「す、すみません、気づかなかったです……」
謝る必要のないところで『すみません』と言われると、余計にいらついてしまう。
「何か用事だったの?」
「え、えと、その……自転車の鍵を落としてなかったかって……わ、忘れ物一覧に書いてなかったし、忘れ物置き場にもなかったので、こ、ここにはないと思いますって返事を……」
「平日の昼間にわざわざ?」
「そ、その……えと……自転車使えなくて困ってらっしゃるみたいで……」
麻琴は『そんなこと聞いてないの』と言いそうになるのを必死に止めた。
代わりに深呼吸した。
翠が言葉を付け加える。
「あ……仕事で近くに来られたみたいで、そ、それで」
一応、筋は通っている。
しかし、その程度の話であんな楽しげな顔をするものだろうか?
隆一が翠に対して見せていた笑顔は、そんな感じではなかった。
『他に何の話してたの?』という言葉を、麻琴は何とか飲み込んだ。
――……仕事しよ。仕事仕事!
麻琴は目の前にあるパソコンに向かって、キーボードを打ち始めた。
しばらくして、バインダーを棚に戻そうとした翠が麻琴の後ろを通り過ぎようとした。
その時に、翠が話しかけてきた。
「あの……」
――な、何……?
――間置いて、何言い出すつもり……?