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誘淫接続
第5章 接近
 松戸も顔を崩し、粘っこい笑顔を見せた。
 「そおそお! やればできるじゃない……絶対あんた笑顔の方がいい女だよ」
 そして松戸は麻琴の肩に置いている手を揉むように動かした。
 さすがに、麻琴は耐えられなくなった。

 麻琴が松戸に向かって大声を張り上げようとした直前、いつの間にか教室の入口で隆一がこっちを見て立っていた。
 隆一は、後ろの誰かのために手で扉を開けたまま支えている。
 その扉を通って、作務衣を着たオーナーの菅原が入ってきた。

 「いやいやみなさん、調子はどうですか?」
 菅原は笑顔のまま、長く伸ばした白髪をかき上げ、低く渋い声ながら親しみを感じさせる調子でそう言った。
 受講生たちは次々と菅原に「こんにちは」と声をかける。

 松戸はさりげなく麻琴の肩から手を離した。
 麻琴はほこりを落とすかのように肩を手で払い、立ち上がって菅原に会釈した。
 「お疲れ様です」
 翠も菅原のもとへ来て頭を下げた。
 「お、お疲れ様ですっ」
 「お疲れ様……えっと、この子はアルバイト? 名前なんだっけ……水野くん、顔色悪いね、どうかしましたか? ……ん? これいい作品ですね! あなたの?」
 菅原はしゃがんで松戸が手にしている湯飲みを見た。
 「どう水野くんこれ、いいですよねえ?」

 麻琴が作り笑顔を浮かべたその時――
 突然貞操帯の淫具が振動した。

 ――……!!
 一瞬、麻琴の全身を貫くような鋭い電流が、背すじを伝って脳の芯まで駆け抜けた。
 「んぐっ……!」
 麻琴はとっさに両手で口を抑えたが、気がつけば淫具の振動は止まっていた。
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