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誘淫接続
第5章 接近
 麻琴は周りを見た。
 ――この中の……
 ――誰かが……
 今日から入ってきた新しい受講生は、いない。全員いつもの土曜の昼のメンバーだ。

 突然やってきた菅原だろうか?
 ろくろの前に座った時に菅原は両手を前に出して準備していた。何かを操作できるとは思えない。
 いや、本当にそうだと言い切れるだろうか?
 麻琴の考えつかない方法を用いたのかも知れない。

 麻琴の心臓は破裂しそうな激しい鼓動を繰り返している。
 とりあえず事務室で濡れた体を拭こうと、麻琴は歩き出した。
 すると――
 再び、淫具が激しく動き出した。

 麻琴の身体がまた、ひざから落ちる。
 教室中の全員が、麻琴の方を向く。
 「大丈夫じゃないですね」
 いつの間にか隣に来ていた隆一が麻琴の片腕を彼の肩に回し、支えるように麻琴を立ち上がらせた。

 動く責め具に、麻琴はもう絶頂寸前まで追い詰められている。
 『ご主人様』は一体誰だろうか?
 麻琴が歩き出すタイミングに合わせて、貞操帯は動き出した。
 ――明らかに私を……
 ――見てる……!

 今もちらちらとよこしまな目で麻琴を見ている松戸なのか?
 それとも、窓の側のテーブルで笑顔でしゃべっている、だじゃれしか言わない小太りの中年男性だろうか?
 あるいは、中央付近のテーブルでじっと作りかけの器を見つめている、口数少なくめったに笑わない初老の男性だろうか?

 麻琴はだんだんと、教室の全員が知らないところで申し合わせて、寄ってたかって自分の身体を責めているのではないか、という気にさえなってきた。
 麻琴の腹の奥に溜まっている欲情の蜜は、今にも破裂しそうだ。
 ――だめ……
 ――だめ……!
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