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誘淫接続
第5章 接近
 『ご主人様』そのものなのだ。
 『ご主人様』の人格が翠に乗り移ったかのように。
 『ご主人様』の声も話し方も聞いたことなどないはずなのに、麻琴はそう感じた。
 麻琴は、翠を前にしながら、翠とは全くの別人と向かい合っていた。
 「ぁ……ぁ……」
 声になるようなならないような音が口から漏れ出る。

 翠は麻琴を見つめながら口元に笑みを浮かべ、手でスマホをもてあそんでいる。
 「もっと喜んでもいいんじゃないか? 俺が直々に来てやったんだぞ?」
 「やめて……やめてそのしゃべり方……」
 麻琴はしぼり出すように言った。
 「俺がずっとこのしゃべり方なのはお前が一番良く知ってるだろ」
 翠はそう言ってスマホの画面をタップした。
 麻琴の中のバイブが再び激しく動き出す。

 翠がさらに画面を操作すると、クリトリスをつまむ突起が強く締まった。
 「んがあっ……!!」
 麻琴が思わずしゃがみ込む。
 ひねり上げられた肉芽から、ジンジンと焼けつくような強烈な波動が、秘宮の奥へ、脳の芯へと叩きつけられる。
 腹の奥はあっという間に情欲の蜜でふくれ上がり、二穴のバイブが、下から、裏から、それを弾けさせようと暴れている。

 麻琴がしゃがんだまま身体をよじらせていると、また貞操帯の動きが止められた。
 「んあ……かはっ……はあっ……」
 翠は大きな目で見下ろしながら、麻琴の結んだ髪の束をつかんで引っ張り上げた。
 「立て」
 麻琴はふらつきつつも、便座のふたに手を置いて立ち上がった。
 混乱のあまり訳が分からなくなり、意識がもうろうとする。
 理性は置いてけぼりになり、下腹の奥の牝の本能だけが過敏に反応を続ける。
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