この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
誘淫接続
第7章 解除
7.解除
(1)
さん……
ずのさん……
みずのさん……
誰かが、麻琴に呼びかけている気がする。
「水野さん、水野さん」
急に麻琴の視界が開けた。目の前には隆一の顔があった。
――どうして……
――ここに……?
――そっか……
隆一に誘いを断るメールを出していなかったからか。
しかし今はそんなことはどうでもよかった。麻琴の意識はまだもうろうとしているが、大海原で一人遭難している所を救助されたような気分だった。
この人は僕の知り合いです、介抱しますから大丈夫です――群がる人々に向かって、隆一がそんな感じのことを言っているのが聞こえる。
人だかりは散らばっていった。
スーツ姿の隆一は麻琴のバッグを持った。そして麻琴の腕を彼の肩に回し、支えるようにして立ち上がった。
こんな風に支えられるのはもう何度目だろう。
「とりあえず、休める場所に」
隆一はそう言うと、麻琴を支えながらゆっくり歩き出した。
孤独に追い詰められ続ける状況からは解放され、麻琴の中に安堵の気持ちが芽生えたものの、貞操帯の責め具を止められないことに変わりはない。
このまま隆一と一緒にいるのは、辛い。
嘘でもついて隆一と別れて帰りたいが、一人でまともに歩けるとも思えない。
そんな葛藤をよそに、隆一は麻琴を連れて改札を抜け、地下から階段を上り、地上ロータリーの前に出た。
まだ少ししか移動していないのに、麻琴はかなりの距離を歩いたような気がした。
隆一は麻琴をどこに連れて行くつもりだろうか?
聞けば済む話だが、隆一は黙々と麻琴を支えて歩き続けた。
なんとなく、声を掛けづらい。
(1)
さん……
ずのさん……
みずのさん……
誰かが、麻琴に呼びかけている気がする。
「水野さん、水野さん」
急に麻琴の視界が開けた。目の前には隆一の顔があった。
――どうして……
――ここに……?
――そっか……
隆一に誘いを断るメールを出していなかったからか。
しかし今はそんなことはどうでもよかった。麻琴の意識はまだもうろうとしているが、大海原で一人遭難している所を救助されたような気分だった。
この人は僕の知り合いです、介抱しますから大丈夫です――群がる人々に向かって、隆一がそんな感じのことを言っているのが聞こえる。
人だかりは散らばっていった。
スーツ姿の隆一は麻琴のバッグを持った。そして麻琴の腕を彼の肩に回し、支えるようにして立ち上がった。
こんな風に支えられるのはもう何度目だろう。
「とりあえず、休める場所に」
隆一はそう言うと、麻琴を支えながらゆっくり歩き出した。
孤独に追い詰められ続ける状況からは解放され、麻琴の中に安堵の気持ちが芽生えたものの、貞操帯の責め具を止められないことに変わりはない。
このまま隆一と一緒にいるのは、辛い。
嘘でもついて隆一と別れて帰りたいが、一人でまともに歩けるとも思えない。
そんな葛藤をよそに、隆一は麻琴を連れて改札を抜け、地下から階段を上り、地上ロータリーの前に出た。
まだ少ししか移動していないのに、麻琴はかなりの距離を歩いたような気がした。
隆一は麻琴をどこに連れて行くつもりだろうか?
聞けば済む話だが、隆一は黙々と麻琴を支えて歩き続けた。
なんとなく、声を掛けづらい。