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あたしの王子、俺だけの姫
第5章 確認
その日の夜。
帰宅したのは9時を回ったところ。
玄関を開けると、有希の友達の靴が並んでいた。
有希の部屋からは元気な女の子達の声が聞こえてくる。女子特有の甲高い声はドア越しの方が助かる。
そのなかでも、有希の声はワントーン低めだからすぐにわかる。惚れた女の声だからすぐにわかるのかも。
自分の部屋で着替えを済ませてリビングへ。
キッチンには有希たちのために腕を振るったであろう藤城が最後の片付けをしていた。
「藤城、今日は助かったよ。父さんの仕事もあるのに有希のことを任せてしまって....」
洗い終わった食器を拭いていた藤城は此方に気づくと手を止めて暖かい緑茶を用意してくれた。
「有希さんのお友だちから頂いた緑茶です。浩太さんも如何ですか?」
「へぇ、手土産が緑茶とはね....どこぞかのお嬢さんか?」
うん、美味しい。
父さんと横浜に行ったときにお邪魔した中国茶専門店で飲んだとき以来の深みのある茶葉だ。
「似鳥財閥のお孫さん....長女・桜さんのお嬢様であられる亜季さんがおみえになっております。有希さんの部活仲間と伺っております。」
「似鳥の孫娘ねぇ....」
「ご本人は....亜季さんは鼻にかけるような態度を取らない有希さんの同様、さっぱりとした性格の持ち主です。....はじめは気づきませんでした。幼少期の写真しか拝見しておりませんでしたので....」
「まぁ、女性は変わるからなぁ....」
有希も大概お嬢様なんだけどな....
っていうか、あの学校に通っているだけでもいいところの御子息・御令嬢なんだけどな....
有希....わかってんのかな?自分が令嬢だってこと。