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翻弄の果てに
第13章 家族〜いのちの誕生〜
今でも、不意に祥子を引き寄せ、キスをすると、やはり一瞬同じような顔をする。

愛おしいと心から思う。いくつになっても、そう思わせる祥子の魅力はきっと、内面からくるのだ。純粋でひたむきで、今時めったに居ない古風なところのある女。それが祥子だった。

過去を懺悔する暇に、俺はこんな祥子をどこまでも慈しみ、守り、愛することを誓った。

俺の祖父母、つまり、環の両親に、祥子を紹介し、結婚すると伝えた。

祖母は、どことなく環に似ていると口走り、慌てて祥子に謝っていたが、

『とても嬉しいです。』

と、祥子は微笑んだ。身代わりになるのは嫌だと、悠太の前から姿を消した祥子だったが、今は環に似ていると言われ、嬉しいと言う。

祥子という女の強さを垣間見た瞬間であった。


それからしばらくして、ささやかな中にも厳粛に結婚式を挙げ、披露宴が催された。




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