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甘やかな縄
第1章 知ってしまった
 浴室へ入りシャワーを浴び、美由紀は浴槽に体を沈めた。
 顔を何度かパシャパシャと、軽く洗い、


(どうしたんだろぅ、いつもなら半分は収まるのに。今夜は、疲れてるんかな?)


 浴槽から出て、ボディシャンプーを体中に塗り付けた。
 そんな時、軽く左の乳房に軽く肘が触れた。


「ふっ、、ん、、やっ、、スイッチが入りそ、、でも、、ごめんなさい、、あなた、、んん。」


 左手の指先が乳首を転がし、挟み弾いた。
 美由紀はゆっくりと足を開き、右手が自然に下半身へと伸びた。
 クチュッ、クチュッ、と右手が微妙に動く度に浴室に淫らな音が響いた。


「ひっ、、ぃい、、んっ、、」


 美由紀の唇から抑え切れない喘ぎが、こぼれた。
 普段なら、一度か二度逝けば止めて浴室を出るのだが、この夜は違っていた。
 何度も自らの手で、秘部をえぐり、あられもない声を上げ続けた。
 一時間以上、そうしていたらしい、というのは美由紀は途中で意識を失って、目覚めると二時間以上たっていたからだった。
 慌てて浴槽に飛び込み身体を温めた。


(今夜は、どうしたんやろぅ。少し、疲れてるんかな。けど、なんであの小説のシーンが浮かんだんかな。まさか、ね。)


 美由紀は、急いで浴室を出て身支度を整え、夫の隣に潜り込んだ。
 翌朝、いつも通りに夫を送りだし、娘を保育園まで送り届けた。
いつもの日常が繰り返された様に思えた。
 ただ、美由紀の中で何かが変わりはじめていた。
 夕食を終え、娘の香織をお風呂に入れ、九時前には寝かしつけた。
 夫の和樹は今夜は接待で、帰って来るのは午前様と決まっていた。
 美由紀はあのサイトをもう一度、見てみたいと思った。
 携帯を手に取り、その小説「縄」のページを開いた。
 作者のブログを覗く(のぞく)と、まだ、その記事があった。


(どうしよう、やめようかなぁ。でも、知りたい。本当にあんな世界があるのかな?ひよっとして、私に、その気(け)が、なんて、まさかね。)


 彼女はコメント欄にコメントを打ち込みはじめた。
 返事を期待せずに、


「はじめまして、夢といいます。小説、面白かったです。これからも、頑張って下さいね。」


 あたり障りのないコメントだった。
 まさか、コメントに返しがあるとは期待していなかった。
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