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甘やかな縄
第1章 知ってしまった
 美由紀の思いとは違い、すぐにコメントが返された。


(えっ、うそでしょ。見てたのかなぁ。でも、嬉しい。)


「はじめまして、夢さん。間です。

コメントありがとうございます。これからもよろしく。
でも、コメントくれたってことは、SMに興味あるのかなぁ?
違ってたらごめんなさい。
今後ともよろしく。」


(うそっ、ばれてる。どうしよう。)


 図星のコメントが書いてあった。
 コメントを返すか、少し迷ったが、


「お返事ありがとうございます。
えぇ、興味あります。

小説、見ててかなりひきこまれちゃって。」


 それだけを、送信した。
 その後、シャワーを浴びに浴室へ入った。
 夫が午前様の時は、娘を寝かしつけてから冷たいシャワーを浴びるのが美由紀の習慣になっていた。
 素肌にバスタオルだけでキッチンに冷たい麦茶と、缶ビールを取りに行き、自分の部屋に戻った。
 麦茶を飲み、気になったのか、携帯を開き例のサイトを覗いた。
 また、コメントが返されていた。


「こんばんは、夢さん。
引き込まれたって、ひょっとして調教されたくなったなんて、ないよね。

ごめんね、ちょっとスケベ心が。

でわでわ。」


(やだ、うそでしょ。いやらしい。けど、ちょっとはあるかな?)


 冷たい缶ビールを一口、ゴクリッと飲んだ。
 そして、作者のコメントが彼女の中でぐるぐると、回りはじめた。
 もう一度、KEYを打ちはじめた。


(どうしよう?けど、良いかなぁ。ちょっと、知りたい。あの人も浮気してるし。)


 美由紀は夫が浮気を重ねているのを、一年ほど前から知っていた。
 彼女は、夫の浮気を許せなかったが、黙っていた。
 自分の不感症が原因じゃないかと、自分をせめていた。
 だからこそ、確かめたかった。


「調教、そうですね。

 経験してみたいかな?

 でも、ちょっと怖いかな。

 だから、お話しが聞けたらと思って。」


(やだ、これじゃ、誘って欲しいって言ってる様じゃない。でも、いいかも、、)


 一瞬、躊躇った(ためらった)が、コメントをアップした。
 缶ビールを飲み干し、パジャマに着替えて眠りについた。
 翌朝、朝の支度を済ませ娘の香織を起こし、準備をゆっくりとさせていた。


「おはよう、香織。お目覚めかぃ?良い子にしてるかな?」


 夫の和樹だった。
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