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甘やかな縄
第1章 知ってしまった
 どうしよう、と、メッセージを見た瞬間、美由紀は思った。
 ただ、奴隷という言葉に微妙に心が揺れていた。
 ふと、時計を見ると十二時を少し回っていた。
 どうしようか、気になったが、携帯を置き昼食の準備をはじめた。
 いつもの通り、朝食のお味噌汁とサラダと卵焼きを作り、一人ですませた。
 食後のコーヒーを楽しみながら、再び携帯を取り上げた。


(どうしよう、奴隷かぁ。考えてなかったなぁ。でも、なんかなぁ、引きつけられるわ。う〜ん、いいかな?いやなら、やめれば良いんだし。)


「奴隷ですか?
良いですね、ロクさんの奴隷にして下さい。
でも、少し不安かな。
少しづつ、教えて下さい。」


(やだ、でも、いいわね。でも、変われるのなら、いいよね。)


 少し迷ったが、送信した。
 後片付けをしながら、ふと、小説のシーンが頭に浮かんだ。
 ただ、いつもと違っていたのは縛られ嬲りもの(なぶりもの)にされていたのは美由紀自身だった。


(いけない、なにを考えているの!でも、奴隷って、やだ、私、変。)

 間六郎は、返信を見て、


(嘘だろ、でも、これって今までだってあったよな。まあ、今夜からメールで始めてみてからだな。どうなるかなぁ。うまくいきゃあいいけど。)


 少し不安を感じながら、六郎はメッセージを返した。


「夢さん、良いんですね。
じゃあ、メールで今夜からでもはじめますか。
メールでの調教をね。
まあ、一度体験してからですね。
じゃあ、都合のいい時に連絡くださいな。
待ってます。」


 まぁ、本気なら連絡がくるだろうと思い、仕事に戻った。

 美由紀が洗濯物を取り入れ、畳み終わると携帯にメッセージが入っていた。
 見た瞬間、


(えっ、嘘でしょ。今夜から!?でも、和樹さんもいないし、いいわね。)


 驚くと同時に、待っていたものが来た、と感じていた。
 娘を迎えに行く時間が来たので、返信をしないで保育園に向かった。
 保育園を出て少し買い物をしたので、家に帰った時には五時を回っていた。
 車の中で疲れたのか、娘の香織はぐっすり眠っていた。
 荷物と香織を家の中に入れ、娘のそばで、紅茶を入れた。
 携帯のメッセージに返事を書いた。


「今夜ですね。
大丈夫ですよ。
楽しみにしています。
都合の良い時に連絡します。」


 すぐに返事があった。
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