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short story
第10章 遥斗の長い長い一日 /haruto
今日、彼女たちに会って何が一番嫌かと言われればみんないちか繋がりだった事。
自分のして来た事を振り返れば娘を持った今、何も思わない訳はない。
そして彼女たちと日常で接するのがみなみだという事・・・
それを物凄く申し訳なく思う。
「今日ママは?」
「用があって・・・」
「ふーん・・・じゃあ若先生が寂しがるわ」
史織の言葉に申し訳なさが一瞬で飛んだ。
「若先生?」
「いちかちゃんのママがお気に入りみたいよ、感じもいいし若くて可愛いもんね」
若先生・・・医者の立場を利用して人の嫁に目を付けるなんて・・・
これは牽制しておかないと!
「ねぇ、話は変わるんだけど一つ上に一倉さんて居たじゃない?」
「あー、テルさんね」
「そうそう、この間偶然一倉さんに会って。そしたらサッカーチーム作るみたいで」
「へぇ・・・」
「私も声掛けてって言われたんだけど遥斗やらない?」
「えっ!?」
その時入り口のドアが開いて患者さんが入って来た。
「とりあえず考えてみて」
史織はそう早口に言って俺に体温計を渡し仕事モードに切り替わる。
俺はキッズコーナーのいちかのところに行って熱を計るためいちかを抱き上げた。
サッカーは高校を卒業してからまともにやってない。
やりたい気持ちもあるけれど、貴重な休日をそれに費やされるのは・・・とも思わなくない。
要は腰が重い。
熱を測って順番待ちをしている間ぼんやりと考えていた。
・・・大輔にも話してみるか。
ぼんやり考えているうちにいちかが動き出し、気を引いたり本を読んだりすっかりサッカーの事は頭から離れ・・・
「山下いちかちゃーん」
やっといちかの番がやって来る。
診察室に入ると俺より少し年上くらいの「若先生」が座っていて、俺を見て一瞬だけ表情が変わった。
「今日はお母さんじゃないんですね」
「妻は用があって」
「・・・・・・・・・」
基本ポーカーフェイスだが俺は見逃さなかった。
若先生はあからさまに残念な顔をした。
機械的に確認する若先生に機械的に答える俺。
「はいはい、いい子ねー、お父さん腕ギュッと抱えてて!」
貫禄のある看護師にされるがままいちかを抱く。
すると雰囲気を感じ取ったいちかが早くも泣き出した。
自分のして来た事を振り返れば娘を持った今、何も思わない訳はない。
そして彼女たちと日常で接するのがみなみだという事・・・
それを物凄く申し訳なく思う。
「今日ママは?」
「用があって・・・」
「ふーん・・・じゃあ若先生が寂しがるわ」
史織の言葉に申し訳なさが一瞬で飛んだ。
「若先生?」
「いちかちゃんのママがお気に入りみたいよ、感じもいいし若くて可愛いもんね」
若先生・・・医者の立場を利用して人の嫁に目を付けるなんて・・・
これは牽制しておかないと!
「ねぇ、話は変わるんだけど一つ上に一倉さんて居たじゃない?」
「あー、テルさんね」
「そうそう、この間偶然一倉さんに会って。そしたらサッカーチーム作るみたいで」
「へぇ・・・」
「私も声掛けてって言われたんだけど遥斗やらない?」
「えっ!?」
その時入り口のドアが開いて患者さんが入って来た。
「とりあえず考えてみて」
史織はそう早口に言って俺に体温計を渡し仕事モードに切り替わる。
俺はキッズコーナーのいちかのところに行って熱を計るためいちかを抱き上げた。
サッカーは高校を卒業してからまともにやってない。
やりたい気持ちもあるけれど、貴重な休日をそれに費やされるのは・・・とも思わなくない。
要は腰が重い。
熱を測って順番待ちをしている間ぼんやりと考えていた。
・・・大輔にも話してみるか。
ぼんやり考えているうちにいちかが動き出し、気を引いたり本を読んだりすっかりサッカーの事は頭から離れ・・・
「山下いちかちゃーん」
やっといちかの番がやって来る。
診察室に入ると俺より少し年上くらいの「若先生」が座っていて、俺を見て一瞬だけ表情が変わった。
「今日はお母さんじゃないんですね」
「妻は用があって」
「・・・・・・・・・」
基本ポーカーフェイスだが俺は見逃さなかった。
若先生はあからさまに残念な顔をした。
機械的に確認する若先生に機械的に答える俺。
「はいはい、いい子ねー、お父さん腕ギュッと抱えてて!」
貫禄のある看護師にされるがままいちかを抱く。
すると雰囲気を感じ取ったいちかが早くも泣き出した。