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short story
第10章 遥斗の長い長い一日 /haruto
「ちょ・・・反則だろ」


慌てていちかのところに行くと、もうペペちゃんで遊んでない。


「残念ねー、パパ」


「さ、さっきの動画と交換ということで・・・」


「嫌だ。欲しけりゃ自分で撮ればー?」


・・・クッソ!
それから俺はスマホでいちかを追いかけた。
負けじと姉貴も追いかける。
互いが互いを牽制し、より萌えな動画を撮るために競い合う。


「いちかー、ワンワン、ワンワン!」


「いちか、積み木よー」


撮って撮って撮りまくって・・・
何をやってるんだと冷静になったのは一時間程経っての事だった。



冷静になると腹が減る。
それは姉貴も同じようで・・・



「遥斗、何か作ってよ」


「嫌だよお前作れよ」


「無理!私作れないもん」



姉貴は家事というものができない。
特に料理なんて本当にお袋の子なのかと思うくらい、男の俺よりも下手なのだ。



「お袋は?」


「お父さんとこ・・・一ノ瀬さんは?」


「友達の出産祝いで静岡まで」


「遠っ!」


俺か姉貴かと言えば結局作るのは俺なのだ。
いちかの口に入ることを思えばそれが正解な気もする。
だから仕方なくキッチンに立ち、またそこら辺を漁って焼きそばを作った。


「えーっ・・・焼きそばぁ?」


それなのに文句をつけられる。


「嫌なら食うなよ」


「食べるわよ!餓死しちゃう!!」


三人で食卓を囲み焼きそばを食べる。


「・・・まあまあね」


「ホントムカつく」


いちかに食べさせながら姉貴にムカついて仕方ない。


「そう言えばさぁ、ウチのお客さんでアンタの先輩が居るのよ」


「えっ!?」


「高校の話になったら都南だったっていうからウチの弟も都南だったんですーって・・・アンタの事知ってたわよ」


「・・・・・・・・・」



嫌な予感。



「星野都子さん・・・って人」


目眩がした。
それはゴリラーマンにボコられた原因の先輩だった。



「アンタが何してるかって聞くからデキ婚して子供が居ますって言っといた」


「デキ婚じゃねぇ!!」


「お嫁さんの尻に敷かれてるって言ったらとにかく驚いてたわ」


「・・・はぁ、もうプライバシーを流出させないでくれ」



脱力・・・
何なんだ今日は・・・
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