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short story
第11章 遥斗先輩とみなみちゃん 前編/ haruto
「人いるから待てって」


「・・・いつも気にしないじゃん」


「真面目そうだからヤバいだろ。それに・・・何か具合悪そうだし」


隣との仕切りのカーテンに目をやりながら起き上がると、彼女も不満そうに身を起こした。


「遥斗じゃないみたい」


「んなことねーよ」


「そんな事あるって。もしかして・・・気に入ってる子?」


彼女がカーテンを睨む。



「・・・知らねー奴だろ」


「本当に?」


「本当」


「嘘」


「本当だって」



彼女はなかなか納得せず、そのやり取りに早くも気持ちが醒めていた。
だんだん面倒になってきて適当な返事ばかりをしていたら彼女もだんだんイラついて、怒りながら制服を整えると飛び出すように保健室を出て行った。


ピシャッと閉まったドアにため息が漏れる。



「何なんだよ・・・」



面倒なのは嫌いだ。
しつこくされたり執着されたりするのも嫌だ。
・・・だからノリが良さそうな子をわざわざ選んでいたはずなのに。


こんなはずじゃなかったと思いながらみなみちゃんとの仕切りを気にしていた。
隣からは相変わらず喘ぎにも似た苦しげな吐息が聞こえ・・・



「あの・・・大丈夫?」


思い切って声を掛けてみても返事はない。
そっとカーテンをめくると布団にくるまりうずくまるみなみちゃんの背中があった。


「・・・そんなに苦しいなら帰ったら?先生出張だから多分帰って来ないよ」


仕切りがなくなりクリアになった声にさすがのみなみちゃんも振り返る。
その顔は真っ青で、見るからに体調が悪そうで・・・



「マジでヤバそうなんだけど・・・平気なの?」


「少しすれば・・・平気です」


警戒するようにもそれどころじゃないようにも取れる素っ気なさに結構ショックな自分はやはり思い上がっていたのだろうか。



「・・・帰るなら送るけど」


「えっ?」


「ホラ、君送れば俺もそのまま帰れるし」



我ながら支離滅裂。
でもこんな時だけど、俺は俺なりにみなみちゃんとの切っ掛けが欲しくて必死だった。










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