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short story
第11章 遥斗先輩とみなみちゃん 前編/ haruto
「ちょっ・・・そこ違くね!?」


「だって保健室で先輩変なことしてましたよね?」


「!」


気づいてたのか・・・


「山下先輩が校内で色々してるって話は有名な話でしたけど、・・・先輩も誰彼構わずはダメですよ。大事にしなくちゃ・・・それに受験生なんだし・・・」


みなみちゃんがアイスティーを掻き回すと氷がカラカラ涼しげに回る。
その様子を見つめながらポツリと呟いた。


「・・・補習娘には言われたくねーし」


「それは先輩も一緒でしょ?」


「残念でした、俺学年で常に20位以内には入ってんの」


「嘘ーーっ!!」


みなみちゃんは大袈裟なくらい驚いてくれる。


「失礼だな・・・」


「だってチャラチャラ女子ばっか連れて・・・部活だって・・・」


「それとこれとは関係ないんです、補習まみれの誰かさんと一緒にしないでください」


今度は柔らかそうなほっぺがブーッと膨れた。
忙しいほどよく変わる表情が可愛くて仕方ない。



「勉強教えてやろうか?」


「いいです」


「期始めテスト・・・ヤバいんじゃねーの?宿題だってあるんだろ?」


「・・・でも先輩だって忙しいんじゃないですか?」


「人に教えるってのは復習にもなるんだよ、自分が分かってないと教えらんないだろ」


「・・・・・・・・・」


「どうする?一人で泣きながらするか?」


のぞき込む俺からバツが悪そうに目をそらすみなみちゃん。
ひとしきり構い倒すと渋い顔の彼女は「よろしくお願いします」と頭を下げた。



「しょうがないな」


「・・・先輩から言い出した癖に」


「俺スパルタだから覚悟しとけよ」


「えー・・・嫌です。みなみは褒められて伸びるタイプだから上手く褒めて伸ばしてください」


「自分で言うなって」


二人で顔を見合わせて笑って・・・なんかこのホワホワ空気、いいかもしれない。


それからみなみちゃんとLINEのID交換をして、また他愛ない話をしばらくして店を出た。


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