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short story
第11章 遥斗先輩とみなみちゃん 前編/ haruto
彼女の様子から多分まだ俺はみなみちゃんの中で「好きな人」の域じゃないんだろう。
そう思った途端胸が痛んだ。


俺は今まで沢山の女の子に好かれてきたけど、結局本当に好きな子に好かれなきゃ意味なんてないんだ。
今更そんな当たり前に気づいて気持ちが一気に落ちてしまう。


「ねぇ、みなみちゃんってどんな男が好きなの?」


「へっ!?」


「理想・・・とかあるんだろ?」


それはあまりにも唐突な質問だったことだろう。
でもみなみちゃんは少し考えて・・・


「・・・一緒に居て楽しい人、あと優しい人」


「ふーん・・・後は?」


「後?そうですね・・・浮気とかしない人」


「年上?同級生?」


「年は別に・・・好きなら年下でもいいと思います。結局は好きになった人がタイプなのかも」


「・・・・・・・・・」



好きになった人がタイプ・・・
今の俺に成す術はないということだろうか。


それからまた勉強に戻り、終わってからはみなみちゃんの参考書を買いに本屋に行った。
駅ビルに入っている本屋に向かう途中、上りのエスカレーターでみなみちゃんを前に立たせるといつもより背が高くなったみなみちゃんが目の前に居て抱きしめたい衝動に駆られた。


「・・・・・・どうしたんですか?」


俺の邪念に気づいたのか・・・みなみちゃんが振り向く。



「別に」


目の前には至近距離でみなみちゃんの顔がある。
抱きしめたい・・・キスしたい・・・
それを悟られないよう必死でさり気なさを装って・・・


俺・・・意外とムッツリなんだろうか。
そんな自分に自己嫌悪だ。





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