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short story
第2章 seventeen/minami
最近、親友のきーちゃんに彼氏ができた。
他の友達だって彼氏がいる子は少なくない。


好きな人の話をする時の友だちは、嬉しそうな恥ずかしそうな顔がすごく可愛いと私は思う。
普段よりずっと「女の子」の顔で・・・見てるこっちにもその幸せが伝わって来て・・・


きっと彼氏がいるってすごーく幸せな事なんだろうなって友だちを見ていると羨ましくなったりする。


でも・・・彼氏が欲しいと思いながら、私はお兄ちゃんの洗脳の甲斐あってか男の子と話すのが得意じゃない。
小さい頃から知ってる駿くんとかなら全然平気だけど、どことなく構えてしまうところがある。



「みなみ!聞いてるのか!!」


「・・・聞いてます」


長いお小言を聞き流しながら私はぼんやりとある人の事を考えていた。


笠原先輩・・・


その人はサッカー部で生徒会長で、私がコッソリ憧れている人だ。
好きなんて大それたものじゃないけど笠原先輩を見かけた日、私のテンションは密かに上がる。


でも笠原先輩は私にとって雲の上の存在で・・・
先輩は私みたいな平民の存在すら知らないわけで。


「みなみ!!!」


「!!!!」


ぽやーっと笠原先輩を想っていたら目の前にお兄ちゃんの顔があった。


「お前まさか付き合ってる男が・・・」


「いない!!いないよ!!」


「本当か?」


「本当だよ!!」


「・・・もし仮にだな、その・・・お前に好きな男ができたならお兄ちゃんに言いなさい。みなみに相応しい相手かどうかお兄ちゃんが見極めてやるから」


「・・・・・・・・・」



絶対に嫌です、と心の中で呟いた。


中学の時、珍しく仲良くなった男の子がいた。
でもどこからかお兄ちゃんはそれを聞きつけ、学校の校門で彼を待ち伏せ何かがあったようで・・・それからその人は私に近づこうとしなくなった。
私と目も合わせようとしなくなった。



「友達」になっただけでこれだ。
もし私に憧れの先輩が居るなんて知ったらまた校門で待ち伏せてとんでもないことをするに違いない。
重ねて言うけど笠原先輩は私のような平民の存在すら知らないのだ。
それなのにそんなとばっちりを受けさせてしまったら・・・



恐ろしい・・・



何があってもそれだけは避けなくてはいけない・・・






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