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short story
第11章 遥斗先輩とみなみちゃん 前編/ haruto
下駄で走るみなみちゃんを捕まえるのはそう難しいことじゃなかった。
「みなみちゃん!」
腕を引くとみなみちゃんは驚いて、俺を見た途端目を潤ませた。
「先輩・・・」
「ごめん、目を離して」
手首から手に・・・繋ぐようにスライドさせると小さな手は柔らかくて、それに凄く安心した。
手を繋いでもみなみちゃんに嫌がる素振りはない。
繋いだ手には二人の熱が生まれ、それが心地良く感じた。
爆音の中、ふいにみなみちゃんが近づき耳元に口を寄せる。
「山下ガールズは?」
「・・・そんなの居ないから」
「あのピンクの浴衣の人・・・先輩のこと好きなんでしょ?」
「分かんねー・・・違うんじゃね?」
お互いの耳元で花火に負けないよう会話する。
生ぬるい夏夜の空気に嫌が応でも気持ちが高められていく。
「きっと好きだよ・・・」
「でも俺は好きじゃないから・・・行こう」
そのままみなみちゃんの手を引いた。
「どこ行くんですか?」
「・・・・・・・・・」
問いかけには答えず、火薬の匂いと爆音から逃れるように歩いた。
人が減り、周りが静かになる頃みなみちゃんに呼ばれ立ち止まる。
「先輩・・・」
「・・・・・・・・・」
打ち上げ音がまた鳴って空を見上げる。
花火はまだ咲いているけど会場から離れた今はさっきみたいに身体を震わすものじゃない。
「花火は間近で見るもんじゃねーな」
「綺麗ですよ、おっきい花火」
「音デカ過ぎて話も出来ねーし・・・人には会うし」
緩やかな風が吹いて、みなみちゃんとゆっくり話をして・・・
どんな臨場感より俺はこっちの方がいい。
「遠藤に先越されちゃったしな・・・浴衣の感想」
「・・・・・・・・・」
「・・・綺麗だよ、凄く似合ってる」
花火を見上げながらやっと伝えた。
今更褒めてもみなみちゃんは黙っていて・・・
胸が痛いけどそれは自業自得だからと思っていると、みなみちゃんが繋いだ手を引いた。
「本当に?」
「本当・・・綺麗だよ」
「・・・ソソる?」
その台詞は史織たちに言ったリップサービスだ。
「みなみちゃん!」
腕を引くとみなみちゃんは驚いて、俺を見た途端目を潤ませた。
「先輩・・・」
「ごめん、目を離して」
手首から手に・・・繋ぐようにスライドさせると小さな手は柔らかくて、それに凄く安心した。
手を繋いでもみなみちゃんに嫌がる素振りはない。
繋いだ手には二人の熱が生まれ、それが心地良く感じた。
爆音の中、ふいにみなみちゃんが近づき耳元に口を寄せる。
「山下ガールズは?」
「・・・そんなの居ないから」
「あのピンクの浴衣の人・・・先輩のこと好きなんでしょ?」
「分かんねー・・・違うんじゃね?」
お互いの耳元で花火に負けないよう会話する。
生ぬるい夏夜の空気に嫌が応でも気持ちが高められていく。
「きっと好きだよ・・・」
「でも俺は好きじゃないから・・・行こう」
そのままみなみちゃんの手を引いた。
「どこ行くんですか?」
「・・・・・・・・・」
問いかけには答えず、火薬の匂いと爆音から逃れるように歩いた。
人が減り、周りが静かになる頃みなみちゃんに呼ばれ立ち止まる。
「先輩・・・」
「・・・・・・・・・」
打ち上げ音がまた鳴って空を見上げる。
花火はまだ咲いているけど会場から離れた今はさっきみたいに身体を震わすものじゃない。
「花火は間近で見るもんじゃねーな」
「綺麗ですよ、おっきい花火」
「音デカ過ぎて話も出来ねーし・・・人には会うし」
緩やかな風が吹いて、みなみちゃんとゆっくり話をして・・・
どんな臨場感より俺はこっちの方がいい。
「遠藤に先越されちゃったしな・・・浴衣の感想」
「・・・・・・・・・」
「・・・綺麗だよ、凄く似合ってる」
花火を見上げながらやっと伝えた。
今更褒めてもみなみちゃんは黙っていて・・・
胸が痛いけどそれは自業自得だからと思っていると、みなみちゃんが繋いだ手を引いた。
「本当に?」
「本当・・・綺麗だよ」
「・・・ソソる?」
その台詞は史織たちに言ったリップサービスだ。