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short story
第11章 遥斗先輩とみなみちゃん 前編/ haruto
・・・実を結んだはずだった。


「ずっと好きだったのに他の人にエッチなことしてたんですか?」


「えっ!?」


「釣った魚にナントやらで私と付き合ってもすぐ飽きちゃうんじゃないですか?」


「飽きない!マジだって・・・どうしたらいい?」


自分の行いは自分にちゃんと返ってくるようで、信用を得るって思ったより難しかった。
繋いだ手を離さず押したり引いたりする俺たちは、傍から見たらただイチャつくカップルだったに違いない。



「みなみちゃんは俺のことどう思ってるの?」


「先輩のこと・・・?」


「嫌いじゃない?」


みなみちゃんが頷いた。


「じゃあ・・・好き?」


「・・・・・・・・・」


核心に触れたら黙られてしまった。
でもここで大人しく引く俺じゃない。


「好きじゃない男と手繋いじゃうの?」


「!」


今まで意識してなかったのだろうか。
咄嗟に手を離されそうになって、離れないよう強く握る。


「・・・ズルい!」


「どうして?」


「ズルいですよ・・・だってそんな・・・」


「ズルいのはみなみちゃんだよ・・・ちゃんと答えてよ」


俯くほど困らせて・・・それでもみなみちゃんが欲しい。
誘導尋問でも汚い手を使ってもこの子を俺のものにしたかった。


「怖いです・・・先輩は」


「怖くねーよ」


「怖いですよ」


「何が怖い?」


「本気になって捨てられちゃったらって・・・怖いです、好きになるの」


そう言ってみなみちゃんは泣いてしまった。
涙がポロポロ頬を伝って・・・


俺、何してんだろうな・・・


「ごめん」とみなみちゃんに手を伸ばし掛けたその時だった。


「ずっと先輩のことばっか考えちゃって・・・保健室のことも今まで気にならなかったのに考えちゃって・・・先輩はみなみなんて好みじゃないしただの暇つぶしなんだろうなって・・・夜になるとい、今頃色んな先輩と保健室でしてたみたいなことしてるのかなって・・・」


「みなみちゃん・・・」


「でも先輩が遊んでくれるならいいやって・・・それなのに・・・さっき山下ガールズと居る姿が辛かった」


やっぱりみなみちゃんに手を伸ばした。
あまりの健気さに抱きしめたくて仕方なかった。


・・・でも抱きしめられなかった。



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