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short story
第12章 遥斗先輩とみなみちゃん 中編 / haruto
「ありがとう!」


「いえいえ」


それからも女子がひっきりなしにやって来て、遠藤は全開の笑顔で写真撮影を引き受け続けた。
俺はその撮影に巻き込まれ、女子を挟んでの3ショットを延々と繰り返す。


「遠藤くん抱きしめて!」


「オッケー!」


「私遥斗くんと腕組みたーい」


「ごめん、俺は・・・」


「いいじゃん最後くらい!ハイッ」


勝手に腕を組まされ写真を撮られ・・・


「遠藤くん、卒業しても遊ぼうね」


「いつでも連絡してよ」


「遥斗くんも!」


「・・・・・・・・・」



女子に媚びへつらう遠藤を見て、少し前の自分もこんなだったんだろうかと微妙な気持ちになった。



「今度みんなで合コンしようよ」


「いいねいいね!」


「だから俺は・・・彼女がいるから」


少し空気が白けてしまったが仕方ない。
社交辞令でも「うん」とはもう言えないから・・・


「・・・卒業してもあの子と付き合うの?」


「付き合うよ」


「ふーん・・・じゃあ飽きたらまた連絡して、遥斗ならいつでもOKだからね」



・・・肉食女子は逞しい。
こんな風に過去関係のあった子に「また連絡して」と誘われたり、遊んだこともなかった子からIDの書かれた紙を渡されたりしても今となっては困ってしまう。
ため息をつくと遠藤がポンと肩を叩いた。



「だからハルくんは一人のモノになんかなっちゃダメなんだって」


「・・・・・・・・・」



価値観って短期間で変わるもんなんだな・・・
今は不特定多数と遊びたいなんて思わない。
表面の楽しさだけ攫うことにもう価値は見い出せない。
昔の俺や遠藤が可哀想だとさえ思えてくる。


そんな時、やっぱり胸に宿るのはみなみの笑顔で・・・早くみなみのところに行きたいと思った。





写真の輪から抜け出したのはそれから間もなくの事。
待ち合わせした場所に急いで行くと、つまらなそうなみなみの姿が見えた。


「みなみ!」


「・・・・・・・・・」


声を掛けてもみなみの反応は薄い。


「どうした?」


「別に・・・もういいの?写真」


チラッとだけ俺を見てみなみはまた視線を反らす。





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