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short story
第2章 seventeen/minami
「何してるんだみなみ」


「お、お兄ちゃん・・・お帰りー・・・」


ヘナヘナな私にお兄ちゃんは訝しい顔で、もちろんカーディガンを不審がった。


「今帰りか?」


「うん・・・きーちゃんち行ってた・・・」



「それはどうしたんだ?みなみのじゃないだろう」



「これは大成くんの・・・きーちゃんちでお茶こぼしちゃったから借りてきた・・・」



スラスラ嘘が出る私ってもしかして悪女!?
ちなみに大成くんとはきーちゃんの弟で中学生だ。



「みなみは全くそそっかしいな」



こんな嘘すぐバレると思ったけどなんとお兄ちゃんは信じてしまった。
そして先に家に上がる。



「・・・だかなみなみ・・・6時を過ぎるのは感心しないぞ」



「う、うん。だから走って来たの」


「明日からはもっと早く帰って来なさい、明るいからといって夕方は不審者が出やすいからな。お兄ちゃんもなるべく早く帰るようにするから」


「・・・・・・・・・はい」



しばらくは雑貨屋さん巡りも控えた方がいいだろうか。
何となくそう思った。






その日は何事もなくむしろ穏やかなお兄ちゃんだったけど何かを嗅ぎ取ったのだろうか、あの日以来監視の目が厳しくなった。



先輩と会う機会もなく、三年生のクラスの・・・しかも人気者の先輩のところにノコノコ行く勇気もなくカーディガンもまだ返せずにいた。
でも、そんな中でやっと先輩にカーディガンを返せるチャンスがやって来た。


それは梅雨入りした六月のある日、文化祭実行委員のクジを引いてしまったことに始まる。



「最悪・・・」



クジ運を呪いながら渋々行った先の教室で、まず目に入ったのは笠原先輩だった。


「プリント取ったら学年、クラス順に座って・・・あっ!」


「こ、こんにちは」


先輩は私に気づくとニコッと笑う。



「クジ引いちゃった?」


「はい・・・」


「だよね、自分からやりたい奴なんてそういないもんな。ご苦労様」


「・・・・・・・・・」



余りの爽やかさにドキドキしてしまった。



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