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short story
第13章 遥斗先輩とみなみちゃん 後編 / haruto
殴られた頬と飛んだ時に擦れた腕が意識の端で痛かった。
追い討ちを掛けるように兄さんは更に俺を数発殴る。


「別れると言え!!!!」


「嫌だ!」


「お前なんかにみなみの純潔を・・・」


「好きだから深く知りたいってそんなに悪い事なのか!?」


「好きだ何だなんてお前の性欲の建前だろう」


「確かに否定はしねーよ、でも建前じゃない・・・逆にアンタはそんな気持ちになった事ないのか?」


「話をすり替えるな!!!!」


ドゴンと今度は鳩尾を殴られた。
ゲホゲホと咳が止まらない俺の上の兄さんをみなみが引き剥がそうと懸命だ。


「もうやめて!!」


「どけみなみ」


「やめて!!!!遥斗が死んじゃう・・・お願いだからやめて!!!!」


「・・・どいてろ」


泣きながら食いかかるみなみを兄さんが払い除けるとみなみはよろけ、尻餅をついた。
その瞬間に俺の中で何かが切れた。
あんなに柔らかく線の細いみなみを乱暴に扱われたことに、こんなにもみなみを傷つけられたことに。


「お前みなみに何してんだよ・・・大事な妹なんだろ?それを叩いたり払い除けたり・・・男と女は体の作りが違うんだよ!小さい頃親に教わんなかったのか!?お前の一撃がみなみにとってどれだけのものか考えてみろよ、このゴリラが」


「何だと?」


「図体はゴリラでも頭ん中はゴリラ以下だな!」


「貴様・・・」


兄さん・・・改めゴリラーマンはまた俺に拳を向ける。
が、俺ももうやられてるばかりじゃない。
その拳より先に喉を狙って頭突きした。


「ぐっ!」


「兄貴だろうと何だろうとみなみ傷つける奴は絶対許せねえ!」


喉を抑えたゴリラーマンはまた拳を握る。


・・・それからの事は余り記憶にない。
俺も攻撃したけど格好つけた割に圧倒的力の差でボコボコにやられた。


みなみが泣き叫んで、俺たちに気づいた誰かが警察に連絡したらしく周りがにわかに騒がしくなって・・・


「遥斗!!!!!!」


「・・・行くぞみなみ」


「嫌あぁぁ!遥斗っ!!」


力尽きた俺は地面に倒れる。
もう体は動かない。


情けない・・・俺は大切な彼女一人守る事ができなかった。
ゴリラーマンの肩に担がれ俺の名を連呼するみなみから目を離すまいとしていたが、意識が白く霞んでいく。


「遥斗―――っ!!!!」


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